灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
~冷たい花~
少しずつ、僅かではあるけど
ゆらに笑みが出てきた。
どんな顔してるか知ってる?
きゅう…んと胸が締めつけられて
全てが平和になるんだよ。
その瞬間は
過去なんてキレイに消える。
まるで世界は二人だけのよう。
こんな世界をずっと夢見てきた。
わかってる。
ゆらは脱走者だ。
いずれ檻の中に連れ戻される。
おそらく無期限の処分だろう。
芋づる式に俺も……。
避けられないのか……?
いっそ誰も二人を知らない国で
生活できたなら……。
もう離れたくない。
ダメだとわかっていながら
正常な道に戻してあげられないんだ。
失うことが怖くてたまらない。
見つかるわけにはいかない。
だけどお前は、
人を信じられないが故に
俺から離れようとする。
時折高鳴る苦痛の叫びは
歯痒くて仕方ない。