灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『もう離さない…離さないからな…!』
何度もそう言って存在を確かめる。
そうでもしないと、
すぐに消えて居なくなりそうな
気がして……
そして、小さくか細い声が初めて
意思表示した。
『抱いて……郷田。』
揺れる瞳が一つの決意を表している。
全てを確認した上で
ゆらは俺の手を取ってくれた。
そう解釈していいのか…?
『信じて…くれるんだな?』
コクリと頷くゆらを
心の底から愛しいと思った。
両手で涙を拭い、
そっと口付けをする。
微かに震える躰を包み込んだ。
徐々に熱を帯びていく。
ゆっくりと抱えてベットに下ろす。
首筋を這うと躰をよじらせた。
細くて長い指が俺の頬に触れる。
『あ…痛い…?』
無精ひげに触れる指に指を
絡ませた。
首を横に振り、熱っぽい瞳に
捕らわれた後
ため息混じりにゆらは言った。