灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
“精神病棟脱走中患者だった”
“病院側は事実を隠していた”
“甘い警備体制 精神病棟の実態”
こちらに視線を向ける郷田と目が合う。
静かに頷くと、電話の相手と再び
話し始めた。
誰と、話してるの…?
『はい…ええ、大丈夫です。』
ミホが死んだ事実は公共の電波を
通じて知った。
理由なんて報道されていない。
誰だか知らないコメンテーターが
言った。
~他にも脱走している患者が居るかも
しれないですね。病院側はきちんと
管理できてるんでしょうか~
うるせぇ………
ほざいてろ。
テレビの電源を落とした。
郷田はドア付近で背を向け
電話で話してる。
後ろに居るとも知らずに。