灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
見上げた先に優しい瞳。
そっと額にキスを落とし、郷田は
打ち明けてくれた。
『今の相手は探偵だ。ゆらを探すのに
協力してもらった。ニュースを見て
心配してかけてきてくれたみたいだ
けど……』
そう言って携帯画面を見せて
その場でメモリー消去ボタンを
見えるように押した。
そっと伸びた手のひらが頬に触れる。
『友達…だったんだろ?』
『え…?』
『残念だった…。』
ミホの死のこと…?
大してショックもなくて、
とうとうきたかという感じだった。
いつ命を落としてもおかしくない
人格だったから。
俯いて首を振るあたしを
抱き寄せる腕。
あたしはこの腕に甘えていいの?
もうすでに
依存しているようなものだけど。
『お前は俺から離れるなよな…。』
かすれた声で言う郷田を抱きしめ
返した。
というより、あたし自身が
離れられるのだろうか…。