灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『俺たちは離れられない。』
ゆっくり見上げた先に
揺るぎない自信に満ちた瞳。
本当は誰かに諭してほしかった。
この手を引いて
何処かに連れさらってほしかった。
お前の居場所は此処なんだって
導いてほしかったんだよ。
ずっと誰かに頼りたかった。
支えてほしかった。
誰かの胸で
声がかれるほど泣いて
温もりを感じていたかった。
だけど。
あたしは首を横に振った。
『ゆら…!?』
あたしを呼ぶ郷田の腕をほどく。
あたしには資格がないんだよ。
あんたを不幸にするってわかってて
道連れにはできない。
ここであたしたちは離れないと
もう一生離れないの。
わかるでしょう?
『郷田…手を離して。』