灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



次に目覚めた時は
まるでデジャヴのようだった。
光り輝くシャンデリア。
ふかふかのキングベット。



ただひとつだけ違うのは
すぐそばで、
あたしを介抱する男の姿。



ハッとして飛び起き、
身をよじらせた。



『勘違いするな。俺は助けた側だ。』



やっぱり間違いない。
目の前の男は、
股間を蹴り逃げしたあの男だ。
どうしてまた、
あたしはここに…?



『右腕を出せ。』



脱脂綿を持ちながら男は言う。



まだ現状を把握しきれてない
あたしは、ポカンとしてしまう。



苛立ちを見せる男は
ベットをよじ登り、あたしに
手を伸ばす。
とっさに『イヤ…!』と叫ぶと
我に返ったのか、
ばつが悪そうな顔をした。



おそらく未遂で終わったんだろうけど
その前の記憶は脳と躰が覚えてる。



頭をかきながら今度は優しい声で
『右腕…ケガしてるから消毒しないとな』と言った。













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