灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
【最終章】名もなき光
目立たない黒で身を包み街を出た。
生ぬるい風が真横を過ぎる。
醜いあたしを嘲笑うかのように頭上に
浮かぶ月。
向かう先はわからない。
あてもないまま突き進む長い道のり。
薬も、使っていたモノも全部
処分した。
繋がりはもうない。
ブラブラと歩いているとカモは
すぐに寄ってくる。
後ろから肩を叩かれたり
前に立たれて足を止められる。
手を振って追い払う。
気分が乗らない。
いつもならすぐに引っかけるのに、
苛立ちが募る。
気安く触るな…!
走って逃げた。
気持ち悪くなって路地裏にしゃがむ。
『おぇ……!ゴホ!ゴホ!』
吐き気がする。