灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
ざわつく雑音の中。
人ごみを掻き分けて歩く。
静かな場所をなるべく避けた。
キャップ帽を深めにかぶり
甘い蜜を求める。
目が合ってもすぐには実行しない。
品定めするのがルールだ。
興味本位で声をかけてくる奴らには
付いていかない。
大広場の噴水前のベンチに腰かけた。
颯爽と現れたスーツ姿のオッサン。
見た目は若そうな感じしてる。
『今、一人かな?』
いかにも働き盛りなオッサンなんだ
ろうけど、あたしを舐めるように見て
にやついている。
『ヤるんなら金出せよ。』
手っ取り早く金の話を出すと相手は
怯む。
最初から高いよ?と言っておけば
後々モメることは多少防げるから。
『いや、そんなんじゃなくてね…その…
僕をパパにしてもらえないかな?』
『は…!?』