灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『逃げないって約束したよね?』
腰が抜けたように倒れて
足で蹴り上げ手を解こうとしても
うまく力が入らない。
縛ったロープもいとも簡単に
解かれている。
四つん這いになってドアに向かっても
結局押さえつけられ悲鳴を上げた。
脂ぎった顔が胸元にうずまり
手探りで足を触られる。
チクッと太ももに痛みを感じた。
え……!?
相手の手には注射器が見える。
『ここからは大人しくしてもらう
からね。』
一瞬のうちに躰は痺れ、
抵抗すら出来ない状態にまで陥る。
肩からなぞる手も払いのけれない。
瞼が重くなり、意識が朦朧とする。