灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



恐る恐る自分の右腕を見ると、
確かに擦りむいたあとが残っていて
ヒリヒリ痛い。



素直に差し出すと
ゆっくりと脱脂綿で傷口をなぞる。
少しシミる程度なのに
何故か腕の震えが止まらない。



『あんたが…助けてくれたの?』



『お前、ヤられる寸前だったぞ。』



『アイツらは…?』 



すんなり引き下がるような
タイプじゃない。
それに、6対1なんて
無謀すぎる。



『ちゃんと仕返ししといたよ。
 無抵抗な女相手に汚いマネ使う
 ヤツらは許せないからな。』



真っすぐに視線を向けた。
最初に感じた鋭い目つきや
冷たい表情は
どこにもなかった。



自然とあたしの手は伸びて、男の
長い前髪を指ですくう。



『あんたもケガしてんじゃん…。』



よく見れば口元も切れている。





 






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