灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



その場に崩れ落ち、
拳の上に落ちた雫は止まらなくなった。
気がつけば、肩を震わせ
あたしは泣いている。



初めて二人の前で泣いた瞬間、
草木が再びざわついた気がした。



『嫌だよ…っ!もうこんな人生なら
 生きたくない…!』



教えてよ……
あたしに生きる意味があるの?
こんなあたしに、
何の価値があるっていうのよ……



ずっとずっと憎んでた
あんたたちのようにはならないって
誓ったのに
その日からあたしは
あんたたちを越えた日はあったの……?



震える指先で墓石に触れた。



『うぅ……うわぁぁ……!』



怒ってよ…昔みたいに。
間違ったことをしたら血相変えて
怒ってくれたじゃない。
“ユラには真っすぐに生きてほしい”って



ねぇ、今頃思い出しても
もう遅いの……



なんで今になって身にしみるのよ……
なんで大事な時にあんたたちは
居ないの……?











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