灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
~例えばキミが笑わなくても~
生温かい墓石の前で
どれほど泣いただろうか。
帰らぬ両親を想い、
郷田を想い、
心は空っぽだった。
ポケットから出したナイフの刃先が
キラリと光る。
もう此処で、
終わりにしようと思う。
きっともう逃げ切れないし
生きる意味も見当たらない。
警察に捕まって、
裁判になって、
最終的に精神病棟で監禁される。
ベットにくくりつけられて
部屋からも出れない状況になるだろう。
社会復帰などないに等しい。
あんな地獄だった生活に
戻りたくはない。
そしてあたしは…汚れてしまった。
躰も、手も。
それだけは紛れもない事実で……
消せない真実。
この躰だけは守りたかったのに……
もう何も手元に残ってない。
抜け殻同然だから……。