灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
ゆっくりと視線を辿る。
指先が震えて涙が溢れ出た。
花を供え、両手を合わせる横顔。
少しの沈黙の後。
懐かしい声が躰に沁みる。
『ユラ。お前の鳴いている声が聞こえ
たんだ。』
優しい微笑みが眩しくて
声も出せない。
『言っただろ?お前は独りじゃない。
俺が居るって。』
何かを諭す言い方も、
心地良い声も、
あたしの全てを包み込んでくれる。
『……イャ!』
差し伸べる手を少し拒んでも
もうどうにもならない。
グッと引き寄せられた躰はすっぽりと
逞しい腕の中に。