灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『ユラ…逢いたかった。』



どうしていつも…あたしを苦しめるの?
優しい言葉なんて信じない。
期待するほど裏切られることくらい
知ってるの。



だけどなんであんたはいつも簡単に
奪うのよ……
簡単に崩すの……?



そして心を掻き乱す……。



捨てたはずの心が呼吸をし出す……。
トクン……トクン……と鳴って
血が通い出す。



近づいてきた唇を拒んだ。



あたしはもう、
あんたに愛される資格はない。



『…何しに来たの?帰ってよ。
 二度とあたしの前に現れんな…!』



罵声を浴びせてもその声は震えてる。



『それは無理な話だ。俺が居ないと
 また命を粗末にするだろ?』



もうこんな命……
あっても意味がないんだよ。



後ずさりするあたしの腕を掴まれた時、
『触んないで!』と叫んでしまった。









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