灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



驚いた表情の郷田を直視出来ない。



『ユラ?言ったはずだ。一緒に生きて
 いこうって。このまま遠くへ逃げた
 って構わない。お前が居ないと意味
 ないんだよ…!』



やめて……虫ずが走る……。
頭の中に……虫が居るような気がして
気持ち悪い。
ズキズキと痛みも生じる。



初めての感覚だった。



頭を振って、中の虫を追い払う。
そのたびに割れるような痛みが伴い、
うずくまる。



『ユラ…!』



『さわ…んな…!』



止める手もガクガク震えて、
とうとう郷田の胸に躰を預けてしまう。



そしてそのままあたしは連れ去られた。



うっすらと残る意識の中、
車に乗ったところで記憶は途切れた。











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