灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



付いたテレビに目が釘付けになる。
まだどの局もニュースなど伝えて
いないけど、震える躰を抑えながら
ジッと画面を見据えた。



『どうかした?』



郷田の声に肩を上げてしまう。



『……別に。』



冷や汗がジワッと滲み出る。
ニュースで流れるのも時間の問題だ。
指紋や頭髪、爪跡なんかで一気に
バレる。



動揺してたからちゃんと消せたか
どうかも定かじゃない。



こんなところに居たら、すぐに
マークされてしまう…!



ベットから飛び降りて出口に向かう。
すぐに腕を掴まれ郷田は事情を
聞いてきた。



『時間がないの。離して…!』



『その躰で…!?無茶だ。』



『捕まるわけにはいかないんだよ…!』



言った後でひどく後悔した。
目を丸くした郷田は、簡単に手を
離してくれない。



『説明してくれ。何があっても驚かな
 いから。』



お願い……
全部話したらあたしの元から去って
ほしいの……
気味悪がって逃げてほしいよ……。










< 269 / 300 >

この作品をシェア

pagetop