灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『それでも俺はユラと一緒に居たい
 …!一緒に、鳴きたいんだよ…!』



儚いほどに、音を立てて崩れていく。
揺れ動く灰色の瞳。
動けないあたしの躰。



ただのカップルの痴話喧嘩だと
通行人もチラ見して通り過ぎていく。



たくさんの涙をためて
あたしを見つめるその瞳に
限界を感じた。



この指が触れたら最後。



わかっているのに止められない。








『今のユラが俺には必要なんだ。』







あたしだって鳴きたいよ…郷田。
一緒に鳴けたらどんなに幸せだろう。



『でもあたしは守れなかった……
 この躰、守れなかったよ。』



どんな想いをぶつけても、
消えない事実なの。










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