灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



再び訪れた二人だけの生活。
以前よりも眠れない夜が続いている
ことを除いては、
元と変わらない静かなリズム。



外には一歩も出ず、身の回りのことや
買い出し等は郷田が全てこなしていた。



コテージの周りは山に囲まれていて、
人気はないが万が一を考えてのことだ。



あれから少しずつ季節も変わり、
音のない世界にも慣れが出始めている。
毎晩、郷田に抱かれないと眠りに
落ちれない。
だけどひどくうなされ、すぐに
眠りから覚める。



悪夢があたしを襲う。



日に日に体重が落ちていくあたしを
見かねて、郷田は言った。



『頼むから食べてくれ。』



スプーンで口まで運んでくれるけど、
躰がそれを拒む。
無理やり食べても吐くだけだった。



先のことを考えて
震えが止まらない夜も。



『ユラは何も心配しなくていい。
 俺が守るから。』



その言葉を聞くたびに
あたしの心は蝕まれていった。










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