灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
いつでもすぐに出ていけるよう、常に
荷物は最小限にまとめておくように
言われている。
敷地内の周りには見張りも配置させて
いるみたいだ。
『大丈夫か?これなら食えるだろう?』
と、胃に優しい食べ物を差し出して
くれる。
郷田こそ、気が気でないと思う。
眠れない夜を互いに過ごして、
静かな夜明けをただただ焦がれた。
言葉はないけど
きっといくつもの重なる鳴き声が
あったんだよね、あたしたち────。