灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



思いも寄らない言葉に驚いた表情。



『本気……なのか……?』



だって辛いよ……あんたと居て。
想えば想うほど深みにはまっていく。
重い鎖が何重も躰を締め付ける。



この四角い窓から見える
あたしたちの行く末に
どんな未来があると言うの……?



キレイ事言ってる場合じゃないの。
どうにかなっちゃいそうなの。



この歌を聴いて、
少し顔を上げてみたよ。
彼を救うモノはなかったけど
あたしにはある。



それが郷田……あんただよ。



例え罪を償い地獄の日々が
舞い戻っても、その存在ひとつで
乗り越えられるんじゃないかって
思えたんだよ。



もう優しさに浸るのは止めた。



だから郷田………笑ってよ。



あたしにも
生きる意味があるんでしょ?
あんたが教えてくれなきゃ
誰が教えてくれるの?










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