灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『嫌だ……ずっと一緒に居たいよ……
何処にも行くな……俺のそばに
居てくれ。』
まるで子供のようにすがり鳴く
郷田の背中をゆっくりと撫で下ろした。
あたしだって辛いよ……
あんたが教えてくれたんじゃん。
心、取り戻したんだよ?
生きる意味まではまだよく
わからないけど、何もなかった
あの頃より「生きたい」と思えたよ。
『でも郷田…あたし人殺しだから…。』
『ユラは殺してない…!自分を守る
ためだったんだろ?立派な正当防
衛だ。』
『違う…!これは事実なの。テレビ
でも言ってたでしょ?』
『ユラは殺してない!殺してない!
殺してない…!』
郷田の精神が音を立てて
崩れていく。
もう「限界」だった。