灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
ピーピーピーと部屋中に警告音が
鳴る。
短く鳴って途切れた。
『時間だ……。』
郷田は立ち上がり顔を向けた。
あたしの手を取り部屋を出て行く。
廊下を進み、二人の寝室へと足を
運ぶ。
遮光カーテンは閉まったままの
暗い部屋。
廊下の明かりが部屋を照らしている。
『もう手の届く範囲まで警察は来てる。
此処も嗅ぎ突かれたみたいだ。』
背中越しに聞こえる低い声。
思わず息を呑んだ。
とうとう、この時が来てしまった。
震える指先を握りしめる。
もうこの腕に抱かれることも
なければ……
優しい瞳を見ることもなくなる……。
あたしは、自首しなければならない。