灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
激しく押し寄せる恐怖が全身を襲い、
声を押し殺して鳴いた。
感情を未だコントロールしきれぬまま
立ち尽くす。
同じように頬を濡らした郷田は
一つの決意を固めていた。
『やっぱり無理だ……。俺はお前を
送り出してやれない。ごめん……。』
一瞬、言葉の意味が解らなかった。
『自首するなら……此処で俺を殺して
くれ。』
スッと前に差し出された拳銃を見た瞬間
背筋が凍りついた。
『郷田……?何言って……』
『言っただろ?俺たちは共に生きるんだ
よ。離れちゃ生きていけない。』
ゆっくりとあたしの手で拳銃を
握らされる。
弾は全て埋まっている。
郷田……やめて。
何の真似なの…?
こんなのおかしいよ……。