灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
エレベーターのボタンを押して
郷田はあたしの後ろへ立った。
『前だけ見てて。』
頭上すぐそばで心地良い声が
響き、そのまま従う。
扉が開いて中に入っても、
周りを気にしている様子。
『ねぇ、ホント何処に向かってんの?』
あたしがそう言うと、
口角上げて
誇らしげに微笑むんだ。
『さぁ、今から生まれ変わるぞ。』
その言葉の意味に
今いちピンとこなかった。
エレベーターを降りると
レッドカーペットで続く廊下を歩き
奥の方にいくつかのショップらしき
看板が見えてきた。
ちょっと待った…!
全部ブランドショップじゃん。
『お待ちしておりました、郷田様。』
高級感漂う店構えと、
上品そうな女性スタッフ。
『うん。適当に見ていくね。』
『どうぞ、ごゆっくりご覧ください
ませ。』
スラッとした身長で
スタッフに頭を下げられる。