灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



震える手を止めたくて
凶器に手が伸びる。
何だっていいの。
ハサミでもカッターナイフでも。
血を見れるなら何でも。



自分を傷付けて
ケタケタ笑うあたしを、
郷田はどんな瞳で見るだろう。



気持ち悪いと思う?
イカレてるって思うよね。
それとも怖い?
普通の生き方が出来ないんだよ。



もしも郷田にそう感じられたら、
あたしはもう此処には居れないね。



時間の問題か。









『どうした?』



『え…?』



『そんなに見つめられると
 食べれないだろ。』



ハッと我に返る。
今は向かい合わせで夕食中。



慌てて目の前のパスタに
手を伸ばすが、
ふとある想いが頭を過ぎった。



カチャとお皿の上に
フォークを置く。



『ねぇ………』

 

手を止めた郷田と視線が重なる。










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