灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『簡単なんて思っちゃいないぜ。
ある意味俺も苦手なんだ。他人
と関わること自体、不愉快極ま
りないからな。』
郷田もまた、瞳の奥に
真っ黒に覆われた闇を持ってる。
深くて、底のない闇。
時折見せる凍てついた笑みに
あたしは心を奪われていたのかも
しれない。
同じ匂いがした気がした。
『少しは俺に興味がわいたのか?』
『は…!?』
『珍しく俺のことを考えてる。』
『勘違いすんな。パニック起こした
こと詫びてんだよ!それだけ。』
『ふーん。あれがパニック障害か。
なるほどね。』
わかりきったように、
上から言葉で封じ込んでくる。
所詮、他人なんてそう思うだけ。
興味本位で近付くだけね。
行く行くはどうせ
“気持ち悪い”と言って
離れてくくせに。
今だけ好きなように
ほざいてろ。
黙るあたしを見て、
クスクス笑い声が聞こえた。
『何が可笑しいの?』
その笑い声がまたかんに障る。