灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『心配するな。俺はお前の闇からは
 絶対に離れたりはしないよ。
 お前からもな。』



一瞬、あたしたちの時間だけが
止まった気がした。



氷の笑みから穏やかな表情の
郷田の言葉。
益々、郷田の考えがわからない。



『あんた…本気でイカレたんじゃない
 の?興味本位ならやめときな。』



『さてどうかな。確かに興味はある
 よ。でもそれだけじゃない。』



『は…!?』



『使命…とでも言うべきか。俺たちは
 こうなる運命なんだよ。きっとね。』



話にならないと無視して
残りのパスタを口に運んだ。



『アキ。』



名前を呼ばれて顔を上げる。
その先の、穏やかな視線。



動けない。
呼吸さえ忘れるほどの
見とれる美しさに
次第に心は麻痺してく。



『この世には二種類の人間が存在
 するんだ。簡単に裏切る人間と
 裏切らない人間。』



だから…何?



『見極めることは大切なことだ。
 生きていくためにね。』



テーブルを挟んで向き合う距離
わずか1メートル。











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