灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『アキにとって、俺はどちらだと
思う?』
わざと試すような言い方。
でも答えは決まってる。
『信用出来る人間なんて存在しな
い。人は簡単に誰かを裏切る。
自分を守るために。あたしもそ
の一人だよ。』
『じゃあアキは俺を裏切るんだ?』
『は?あんたといつ信頼関係築いた
っけ?笑わせないでよ。』
手元の水を一口含む。
『そうか?そりゃ残念だな。でも…
俺は後者だよ。』
『え…?』
ニッコリ微笑んで
郷田の口からこぼれた言葉。
『俺はお前を裏切らない。これから
何があっても。』
『ば、馬鹿じゃないの?』
とっさにそうまくし立てた。
これは何の真似なの?
胡散(うさん)臭いあんたの言葉
なんか信じられない。