灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『ねぇ……』



顔を上げたあたしに映る郷田は
じゃが芋をマジマジと見つめて
言ってる。



『いいじゃが芋だ。今夜はビーフ
 シチューだな。』



『……………。』

 

ソファーとは反対方向に背もたれに
腰掛ける。
腕を組みながらしばらく郷田を
見つめた。



チラチラとあたしの視線に気付いて
いるくせに、何も話さず野菜を
洗ってる。
わざと様子を窺ってるみたいだ。



『おい。話聞けよ。』



たまらず声をかけると、
何?ってな顔つきがまた
しゃくに障る。



不敵な笑みも見下した視線も
全部が嫌い。
気にくわない。



『この曲………』



『え?あぁ。耳障りか?』



『いや…何て曲…?』



『え?Elick.Joneを知らないのか?』



『エリック…ジョーン?』










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