灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『アキ……?』
頭上で声がした。
見上げると郷田は優しく
あたしを見ている。
『アキ。何考えてる…?』
『え…?』
『なんか思いつめている感じ。』
まただ…。
またあの瞳で心を見透かそうとする。
スッと視線をそらした。
『別に。』
『そう?何なら部屋にプレーヤー
置こうか?それかいつでも此処に
来ても構わない。気に入った
みたいだし。』
今のあの部屋はだだっ広いだけで
たまに息が詰まる。
またいつフラッシュバックに
襲われるかわからない。
ここに来ていいのなら来たいと
思った。
一人で居るよりかは何倍もマシだ。
いつの間にか耳にしていたこの曲で
あたしは落ち着いていられた。
『何かわからないことがあれば、
普段は奥の部屋に俺が居るから
声をかけてくれればいい。』
『…わかった。』
ポンと頭を撫でられ、郷田はまた
キッチンへと戻っていく。
子供扱いしやがって…。