灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『あたしとキスしたら眠くなるよ?』
クスクスと笑い返してやった。
『なるほど。睡眠薬ね。じゃ、
やーめた!』
あっさりと躰を離し、
またあたしの頭を撫でる。
あまりにも退き際が早くて
逆にキョトンとしてしまう。
『なに?キスしてほしかった?』
『バッカじゃないの!?』
『そうやってムキになるところ、
可愛いよ。』
『……………。』
話になんない!
洗濯物全てを抱えて
ランドリールームから飛び出した。
あたし、からかわれた?
ちょっと待ってよ。
そんなはずないでしょ。
あんな奴に
ペース乱されるわけない。
だけど……
脳裏にかすむ郷田の顔。
今にも唇が触れそうだった…。
あんな至近距離で攻められたら
一瞬でも許してしまいそうになる。