スターの結婚
「では、いま一緒にその飲料水を飲みたい女性はいますか?」


マスコミお得意の商品と絡めて質問する作成だ。


「今はいません。募集中ってとこですね。笑」


公平は爽やかすぎるぐらいの笑顔で答えた。


「本日の会見は終了とさせて頂きます。」


「ありがとうございました。これ皆さん飲んで下さいね。笑」


公平は笑いを残して壇上から去った。


「お疲れさまでした!」


「今日これで終わり?」


「いや...まだドラマの収録が。」


大介は気まずそうに答えた。


「またてっぺんまわるな。」


"てっぺん"とは業界用語で0時のこと。


―――――――――――――――

プレス発表会の後、公平は大介と共にドラマの収録現場に大介が運転する車で向かっていた。


「そう言えば最近、悠果里さんと会ってるんですか?」


大介は後部席で台本を読んでいる公平に尋ねた。


「2週間は顔見てないな。」


「お互い忙しいのによく5年も続きますね。」


「お前がやたら仕事持ってくるからだろうが!笑」


公平はふざけて台本を丸めて運転席の大介の頭をたたいた。


「あはは。笑 結婚とか考えてたら早めに言って下さいよ〜!あちこち根回しが必要なんですから」


「俺、あんま結婚とか興味ないんだよ...。」


冗談っぽく言った大介に対して公平は真面目に答えた。
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