期間限定王子





「俺の他にここを
使う人がいたなんて驚いた」




わたしも。

だって今まで一度もここを使う人なんて
見たことも聞いたこともなかったから。





…だから使ってたんだけど。






上ってきた彼は
近くに座り込んで黙って空を見上げた。





「……」


「……」





沈黙。


だけど特に緊張するわけでもなく
心なしかとても落ち着いた空気だった。






たぶんそれは
この人から香るシトラスの香りが
そうさせてるんだろうな。






しばらくの間沈黙が続くと
突然彼が口を開いた。




「ねぇ、何年生?」




何年生?


あ、私に聞いてるんだ!




「2年」





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