- π PI -【BL】

俺はため息をついてビールを煽った。


「お♪いい飲みっぷりだな~、ま、どんどん明けろよ。今日は俺のおごりだ♪」と隣の男はにこにこ。


変なヤツ……


ま、こうゆうところに一人で来てるからこいつもフられた口だろう。


こんな何もかも揃ってる男でもフられることってあるんだな。


「あんたも気の毒にな」


俺は勝手に同情して失恋組に入れると、グラスを合わせた。


男は一瞬何のことか分からないような顔できょとんとして、やがてゲラゲラと笑い出した。


「なに、おたく俺が失恋でもしたって思ってるの?」


「何、違うの?」


「生憎フられる相手もいないんでね」男は軽く肩をすくめる。


「へぇ、フリー?もったいねぇな、そんなルックスしてんのに」


「今はな。でも今夜できるかも♪」


男の意味深な発言に、俺は首を傾けながらもビールを飲んだ。


変なヤツ。


そう思いながらもやっぱり四年間の思いを断ち切るために、何もかも忘れたい為に


ビールを飲み込んだ。


忘れたい…


そんなことを考えていたからだろうか、この変な男の意味深な笑顔が、香りが



俺の脳裏に焼きつく。









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