- π PI -【BL】


――――

――


割れるような頭痛を感じて、俺は重い瞼をこじ開けた。


「……ってぇ」



頭が重い。まるで枕の中に沈んでいくようだ。


唸るように小さくもらして額に手を当てて、違和感を感じた。


ここは―――どこだ………?


俺の狭いアパートじゃない。


天井は高く、白い。眩しいぐらいにきれいだった。


目だけをちょっと動かして辺りを見ると、見慣れない高級そうな家具や調度品が目に入って、俺は慌てた。


マジでどこだよ……?


布団をめくって重い体を起こそうとして、俺は気づいた。


服―――着てない……


―――は!?


状況が理解できなくて、俺は広いベッドに視線を戻すと隣には誰かが眠っていた。


ように見える。


ふわふわの羽毛布団に人のふくらみがあったし、その布団がもぞもぞと動いて、



「………ん~?」と小さな男の唸り声が聞こえた。




―――!!





昔から、アルコールには強い自信があった。


それでも若いときはときどき溺れるほど飲んで、目覚めたら知らない女のベッドだったってことはたまにあった。


もちろん比奈と付き合う以前の話だ。


どうやら俺は酔うと開放的になるらしい。





だけど、目覚めると男のベッドだった―――ってのは始めてだ。








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