隣の席のヤンキーGiRL

 手が赤い。血だ。うん、血だな。あの男が持っていたひんやりするものが、鋭利ななにかだったというのが今わかった。

「俺、今更ながらに血の気が・・・。あぁ」

 うなだれる俺の姿を見て、翔梧は肩をポンポンとした。

「よくやったよ。俺はびっくりした」

 俺も自分でびっくりしたさ。あんなこと、なんでしたんだろう。

「保健室行こう。ゆっくり休もうぜ」

 後半部分を翔梧は俺の耳元でこそっと囁いた。

 午後の授業はもう始まっていた。 
< 58 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop