隣の席のヤンキーGiRL

「変な奴」

 そう言って彼女は、また寝ようとしていた。

 彼女とこんな時間を過ごすことになるなんて、思ってもみなかった。

 数日前の俺だったら、追いかけることなく、真っ先に逃げていただろうに。人間て分からねぇ。

「ははっ、変な奴って。たまに言われる」

「はっ、自分で自己申告する奴、初めてだ」

 俯いたまま彼女は答えた。
 
 俺は空を見た。雲の流れが速い。

 少しすると、彼女のスースーという寝息が聞こえた。顔は見えない。綺麗な髪が風でなびいていた。

 
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