2度目の恋は、やさしい蜜の味

どれくらいの時間が経っただろうか。

少女は男性の手が自分の頬に添えられたことに気づき視線を男性へと戻した。

眼鏡の奥で、悲しそうに微笑んでいる男性の顔が見える。


「どうしたの?」


少女が問いかけると、男性は少女の頬に添えていた手の親指をそっと動かした。


「わたし、もしかして泣いてた?」


その問いには何も答えず、男性は少女の頬から手を離すと、もう片方の手を拳のまま少女の前に出した。


「何?」

「さっきの部品だよ」


男性は優しい笑顔で答えると、手首をくるりと回し、そっと指を開いた。


「……時計?」

「うん。よかったらこの時計貰ってくれる?」

「わたしが?でも……」


出会ってそう時間も経っていない男性からの突然の申し出に少女は戸惑いを見せる。



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