2度目の恋は、やさしい蜜の味
さすがというか、由美のこの鋭さはどうやったら身に付けられるのだろうか。

『悠斗兄は信用しても大丈夫な相手だよ』か。

由美が言いたかったことは何となく分かる。

そのすぐ後、気にしないでと言ってくれたのは優しさからだろう。

恋をしないと決めて、もうすぐ5年経つ。

この5年間、男の人と親しく接点を持とうとしたことも、持ちたいと思ったことも無かった。

でも、悠斗さんとはもう一度会いたいと思っている自分がいる。

だけどこの気持ちは育ててはいけないものだ。

まぁ、悠斗さんがこんなちんちくりんなわたしに好意を抱くことなんてまず無いだろうからいらぬ心配だよね。


『君の時が刻まれている限り、素敵なことが必ずある』

以前、入院していたときお見舞いにきてくれていたお兄さんが発した言葉をふと思い出した。


美月は複雑な表情を浮かべながら、左手首にはめている腕時計をギュッと握った。






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