2度目の恋は、やさしい蜜の味
「彼女は俺が決めた婚約者なんだ。誰がなんと言おうとその事実は変わらない。彼女は俺にとってとても大切な人なんだ」


沢井は強気な表情から一変、言葉に詰まらせながら悲しみの表情を浮かべていた。


そして何かを悟ったかのように「もしかして……」と小さく呟いた。


「ああ……」


悠斗はそれだけを呟いて優しい眼差しで美月を見つめた。


その視線に気づいた美月は何故自分が今見られてるのか不思議に思いながらも、悠斗を見つめ返した。


「そう、見つかったのね……でも、まだ諦めないわよ。藤本美月さんって言ったわね。あなたから悠斗を取り返してみせるから覚えておきなさい!」


沢井は再び強気な表情を取り戻し、そう言って来た時と同じようにカツカツとヒールを鳴らしながら颯爽と歩き去った。




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