新人女性騎手の憂鬱。因縁にカタをつける強い意志は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
「勾玉なら返したでしょうが!」


『じゃあ、なんで質屋に渡ってるんだよ!?』


「そ、そんなの知らないよっ!」


『小春の名前で証書を渡したって!
あんた、あんな大事なものを…。
このままじゃ勾玉様の罰が当たるよ!!』


「ちょっ、ちょっと待ってよ~!
私は全然知らないんだってば!」


『質屋さんが連絡くれたんだよ!

母ちゃんの知り合いの、そのまた知り合いの同級生がやってる質屋さんでさぁ。
ホント、知らせてくれて助かったよ。

どうやら持ち込んだのは男らしいけど、あんたの名前を騙(かた)ってたって。
しかも、その男…もしかしたら遼じゃないかって…。

あんた、いつの間に兄ちゃんと連絡取ってたんだい!?
あの子、無事なの? 今、何やってるって?
そんなにお金に困った様子だった??

ちょっとー、小春ったら聞いてんの?

証書の期限は3ヵ月らしいからね?
今度のレースで必ず勝って、ちゃんと勾玉様を引き取ってくるんだよ?
分かってんだろうね?』


「そんな無茶な――っ!」

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