ごく普通の女子高生が、暴走族のお気に入りになって恋しちゃった話
「はぁ・・・やっぱり連れてこなければよかった」

「え?」

視界が、一瞬だけゆがんだ。

「海乃莉は、俺んだから」

私は、ギュッと抱きしめられて、そんな台詞を言われちゃってた。

でも、その台詞は、心に響いたかも・・・。

「ふっ・・・そんなの、昔っから知ってるよ」

「だったら近寄んなよっ!」

純弥は、私よりも15センチぐらい背が高いから、ちょっと上を向かないと顔が見えない。

「近寄ってない」

「今絶対近寄ってただろ?!」

「近寄ってない」

だけど、今は抱きしめられているから別。真上を見ないとだめだ。首が痛そうだけど、見てみよう。

「だったら、喋んなっ!」

・・・・。

ヤバい・・・・。

「喋るだけだぞ?海乃莉に嫌われるんじゃないか?」

一生懸命言い争ってるところ、超可愛い。そろそろ、とめてあげるか。

「うっ・・・み、海乃莉は、そんな気はねぇからっ!」

「ねぇ、純弥」

「海乃莉は、嫌いになんねぇ!」

「もういいよっ」

「海乃莉は」

話し聞けやっ!

「もういいよって言ってんでしょーがっ!!」

ガコッ

闘龍会の倉庫の中に、にぶーい音が響きわたった。

っていうのは、私の拳が純弥の頭を直撃したわけで・・・。

「いてぇ~・・・」

純弥は、うずくまっていた。

あちゃ、やりすぎたかな?

「あの、純弥・・・」

「海乃莉、放っておけ。大丈夫だ。うずくまるぐらいの元気があれば」

「う、うん・・・わかった」












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