それは運命のいたずら
不思議そうに私の顔を覗き込む。
「なんでもないでふっ!
今日めちゃくちゃ部室暑いしさって…いたっ!」
私は手をブンブン振りながら必死に否定する。
その拍子にロッカーの角で指を打った。
明らかに自分でも動揺しまくりってのが分かる。
「あんた、本当に鈍臭いわね…私先行ってるから戸締りよろしくね」
「うっ、ういっす」
佑奈は荷物を持って、ドアの近くの棚に鍵を置いて部室を後にした。
エナメルバックからポーチを取り出して、日焼け止めを塗りたくる。
私はせっせと、練習着に着替えて部室から出た。
春の心地好い風が私に当たる。
ぽかぽかしていて何をするにも調度いい気候だった。