それは運命のいたずら
グランドに向かう途中、私がさっきイライラを抱いていた奴に出くわした。

何故か、陸上部の男子の部室から出て来た。
目を疑いたくなる光景だった。

私は何度も目をゴシゴシと擦った。



「なんで貴方がここに居るのっ」


「今日からここの部員だから。

普通科1年の桐谷宙斗。
よろしくな、実杏ちゃん♪」


「なっ、なんで私の名前…」


「さぁ?」


そう言って桐谷宙斗は、私の様子を伺うように顔を見ると、ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。


私は逃げるように、プレハブに足を運んだ。

なんで私の名前…
知ってるんだろう。

私はそんなに有名じゃないし。
…なんで?

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