それは運命のいたずら
第1話
2010年、春…―
新入生の入学式を終え、私は疲れをとるかのように、両手を上げて背伸びをする。
辺りを見渡すと、桜がヒラヒラと綺麗に舞っていた。
私は無事に進級出来た事、そして親友の佑奈とまた同じクラスになれた事で幾つかの安堵感に包まれていた。
楠本 実杏、16歳。
コンプレックスはなかなか伸びてくれないこの身長。
「実杏、私水汲みとかしなきゃいけないから先行くわ」
「了解っす」
佑奈は私にそう告げると風のように去って行った。
相変わらず、働き者だなぁ。
私も見習わないとね。
「さてと、私も部活に行くとするか」