君じゃなきゃ
両腕を枕にして
気持ち良さそうに
そこで寝ていたのは
「あ……牧野龍星…」
「んー…誰?」
眩しそうに
うっすら目を開けてつぶやいた
「あ、ごめんね起こしちゃった?
ごめん邪魔しないから寝てていいよ」
馬鹿だよ私
心の声が出ちゃったよ
だって、びっくりしすぎて
牧野龍星がいたから
「藤田仁美」
「知ってるの?!」
「うん、有名だから
俺のことも知ってるの」
「えっ?あ、有名だから」
「そっか
いいでしょここ
でも内緒だよ?
唯一落ち着ける場所だから」
そうだよね
牧野くんの周りにはいつも
女の子達がキャーキャーいって、
みんなのアイドルだから
落ち着けるはずないよね
牧野くんが唯一くつろげる
牧野くんだけの特別な場所なんだ
「起こしちゃってごめんね
じゃあ私いくね」
「もう少し居れば?」
「へ?いいの」
意外な言葉に
目を見開いた
「休憩していきなよ
顔が疲れてる
それに俺だけの場所じゃないし」
「うそっ」
はっとして
頬をさわった
「ふふっ冗談、
でも気持ちは少しわかるから」