ガリ勉くんに愛の手を
真っ赤に腫らした目。

「ベン、お前…
健二と佐奈に会ったんか?」

そのままこくりと頭をうなずかせた。

「あの背の高い、カッコイイ人と佐奈さんが…」

そう言いかけた時、またあの濃厚なキスシーンが頭をよぎった。

「うわぁーっ!」

「ベン、落ちつけ。
何があったんや?」

「おっちゃん、あの健二さんと佐奈さんは別れたんですよね?
なのにどうして今頃…」

(ベンに、本当の事を言うべきか…?)

「おっちゃん、教えてください。
本当の事を!

僕、どんな事を聞いても驚きませんから!」

「仕方ない。ホンマの事言うわ。
実はな…」



「うぇ~っ!!
もう耐えられない!」

「お前、今どんな事聞いても驚けへんって言うたやろ?!」

そんな事を言ったなんて全く覚えがない。

僕の頭の中はすでにパニック状態に陥っている。

「でも、大丈夫や。
佐奈はもう健二の事忘れてるはずやから。」

(そんな事ない。
あの時の佐奈さんの顔…
僕にはわかる。
好きな人を見る目だった。)

僕はサッとその場に立ちあがった。

「ベン、どうしたん?」

「帰ります…」

「こんな遅くに?
泊まって行けよ。」

「………。」

何も言わず部屋を出た。

(ベン、相当ショック受けてるな~。)

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