ガリ勉くんに愛の手を
おじさんの心配をよそに僕は幽霊のようにふわふわとアパートを出ていった。

どこをどう歩いているのか…

おじさんから、聞かされた健二と佐奈の過去。


・・・・・・

「でも…
どうして、今頃になって佐奈さんの前に現われたんですか?」

「ん?そりゃ、俺もよーわからん。
もしかして迎えに来たんかも…」

「迎えに?!佐奈さんを?!」

・・・・・・

ショックだった。

あの時の二人…
まだお互い思い合っているように見えたから…

「ベン、もたもたしとったら佐奈をさらわれてしまうで。
早くアタックせえよ!」

おじさんの言う通りだ。

現に今、佐奈と健二は二人一緒にいるんだ。

(どうしよう…)

僕の不安はますます大きく脹れあがるばかり…

(佐奈さん、今頃どこへ…?)

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