さくらシンドローム
とりあえず自己紹介をしてからカラオケに入った。
矢神は進藤の彼女だから、彼氏がいない三原さんへのアプローチがすごい。
「三原さんは部活とか入ってんの?」
「手芸と合唱に。」
「すげ!女の子!でも3年生だったらもう引退?」
「ううん。学祭までは。」
「まじか!学祭行くわ!絶対行くわ!」
みんな鼻の下が伸びている。
「桐生くんは三原さんとお話しないのですか?三原さん可愛らしい方だと思うのですが。」
隣に座った凜太郎が聞いてきた。
「俺、彼女いることになってるから。」
「また見栄を張ったのですか。」
「うるせえ。」
凜太郎が曲を入れた。
「何入れたんだ?」
「これです。」
まさかの演歌。
「まじか。」
「まじです。」
意外とうまかった。
進藤と矢神はいちゃつき始めるし、高城と松野と武田は三原さんに質問攻めするわで、俺と凜太郎しか歌ってなかった。
「ちょっとお手洗い行ってくる。」
三原さんが席を立ったことで、3人も歌い始めた。