さくらシンドローム
食べたいもの全部買ってもらった。
「父さん!あれやりたい!射的!…あれ、父さん?」
父さんと母さんの姿が見えない。
周りを見渡しても、人混みで見つからない。
くそ。この年になって迷子とかまじ勘弁。
ケータイを取り出して電話をかけるが、父さんは出ないし、母さんは圏外。
「まじか…」
帰るしかないか。でも花火見ずに帰るとか…
頭を抱えてしゃがみこむと、ひとりの浴衣女性が目の前で立ち止まった。